セクシャルマイノリティのギフティッド(gifted)は多重マイノリティとして孤立しがちだったり、セクシャルマイノリティの差別やいじめで人一倍傷付きやすく、日本以外の先進国では特に注意していることです。今回はレズビアンの場合を中心に論じていきます。
なお、2020年フランスで出版された『ギフティッドの恋愛(未邦訳)』では、ひとつの章の中で、同性愛のギフティッド(gifted)について述べられていましたので、この本を中心に紹介します。
参考
(※1)Monique de Kermadec <> (2020)p.81~
https://www.albin-michel.fr/ouvrages/le-surdoue-et-lamour-9782226455840
【1】前提として…女性ギフティッド(gifted)全体の傾向
まず、女性ギフティッド(gifted)全体の傾向として、ジェンダー・ステレオタイプの影響があります。
- 男性と比べて、女性は自分がギフティッド(gifted)だと自覚しにくい。
- 自分の成果を「たまたまだ」「運が良かっただけ」と思い込み、自分の実力を信じられない傾向がある。
- 「女らしさ」ステレオタイプに反するため、アイデンティティーを確立しにくい。
などです(※2)。「女らしさ」の足枷や社会全体のミソジニーにより、自己肯定感を持ち難かったり、実力を発揮できない傾向があります。
参考
(※2)Monique de Kermadec <>(2019)
https://www.albin-michel.fr/ouvrages/la-femme-surdouee-9782226445742
【2】レズビアンのギフティッド(gifted)の傾向やカップル(恋愛)の場合
レズビアンのギフティッド(gifted)はどのような傾向があるのでしょうか。フランスでは、1999年に連帯市民協約パックス(PaCS)が成立し(※2)、2013年には同性婚法が成立しました。多くの人が声をあげ、その声を反映させた民主主義の先進国として、他国に比べたら比較的早い時期に同性婚が可能になりました。
しかし、フランスの若い世代は、自分らしさを認めやすい環境で育っている一方で、40代以降の方は、自分の性的指向や性自認に自信が持てず、同性愛傾向があるという自覚ができない事例もあるそうです。
Monique de Kermadec氏によると、特に女性自認のレズビアンの方々は、統計の倍以上いるのではないかと考えられています(※3)。また、レズビアンのギフティッド(gifted)カップルの場合、ギフティッド(gifted)の特徴である、高い共感能力や完璧主義の部分が2人の関係に影響するそうです。濃密な心理的一体感が感じられる一方で、心理的な近さ故に喧嘩が激しくなってしまうそうです。
参考
(※3)在日フランス大使館 PACS(連帯市民協約)ついて
https://www.fr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/pacs.html
(※4)Monique de Kermadec <> (2020)p.81~
https://www.albin-michel.fr/ouvrages/le-surdoue-et-lamour-9782226455840
【3】まとめ
一概にギフティッドといっても、性別やセクシャルマイノリティによって傾向差があるようです。日本ではまだあまり理解されていないマイノリティですが、周知されることにより少しでも生きやすい社会になることを願います。
(LIE/ライター)
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