ゲイ雑誌「SAMSON(サムソン)」が2020年6月をもって休刊しました。これをもって、日本で定期的に発売されるゲイ雑誌というものが消滅することになり、ゲイ文化の1つが終わりを迎えたと言えます。現在では入手も難しいゲイ雑誌ですが、それがどのようなものであったか、知っている大人のゲイは思い出を振り返り、知らない若いゲイは豆知識として見てみてください。
【1】かつてゲイたちのバイブルだったゲイ雑誌とは?
古くは「薔薇族」や「さぶ」、近年では「Badi」「G-men」といった雑誌が刊行され、時代時代のゲイたちに読まれていました。ゲイ雑誌衰退の原因は、出版不況が大いに関係していると思われます。
ゲイ雑誌は大手出版社ではなく、零細企業のような数名規模の編集部で作成されている場合が多く、一般書店で陳列されることがあるものの販路も細かったのです。
マツコ・デラックスさんは、そういったゲイ雑誌での執筆からコラムニストのキャリアをスタートさせています。
ゲイの出会いや情報交換がネットに移っていったことで、「紙の本」を読む文化の衰退がダイレクトに、こういったゲイ雑誌を襲っていったことは想像に難くありません。
【2】ゲイ雑誌の中身はどうなっている?
ゲイ雑誌の主なコンテンツは以下の通りです。
- カラーグラビア
- イベントやパレードなどの紹介・レポート
- 漫画(ギャグ・ラブストーリーなど)
- 新作ゲイビデオの紹介
- 読者コーナー(編集部へのコメント・文通相手の募集など)
- 広告(ゲイバー・ウリセン店・各種グッズなど)
表紙から巻末までゲイのゲイによるゲイのための雑誌で、インターネットのない時代にはゲイたちの貴重な情報源でした。また、グラビアや漫画はもちろんエロ中心のものであり、夜のおかずとしても使われていました。
扱われるモデルの体型は雑誌によってカラーがあり、ジャニーズ系だったりマッチョだったりデブだったりと、雑誌単位で棲み分けをして読者が選べるようになっていました。
【3】今ゲイ雑誌を読む方法
今、どうしてもゲイ雑誌を読んでみたい! という場合は、古本屋やゲイショップに既刊の在庫が置いてある場合があります。また、一部の有料ハッテン場などのフリースペースに置かれていることも。いずれも保管状況はあまり良くはなく、破れていたり落丁があったりします。
ゲイ雑誌に代わる媒体としては、やはりネットが中心になっています。写真や動画はゲイビデオメーカーのサイトやSNSで手に入ることは、皆さんご存じの通り。いわゆる「ゲイ向けの漫画」は大手漫画サイトでは女性向けのBLばかりで見つけづらく、ゲイ作家が作品を直接発表している同人誌を漁った方が近いものが読めます。
一つの文化が消えることは寂しいですが、時代に合わせて情報収集を怠らないのもまた、ゲイの逞しさと言えるでしょう。
(寄稿)
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